君島十和子さんに学ぶ、キレイのレッスンVol.1【仕事編】
2018/07/27
日本すっぴん協会では“美のカリスマ”とも言われる君島さんに、全3回にわたってそのキレイの秘密をインタビュー! 1回目は、君島さんが美容の道に進むまでのお話を伺いました。
―まずは、君島さんが美容を仕事にしようと思ったきっかけから伺っていければと思います。初めに美容を意識されたのは、どのようなことでしたか?
君島さん:私は昭和41年生まれで、高度経済成長期の時代に育ったんですね。同時に光化学スモッグなどの公害が問題視され始めた頃でもあり、その時期に子育てを経験した母は、化学的なものに対してものすごく敏感でした。ケミカルなものの集合体にみえる化粧品やパーマに対しては、かなりの拒絶反応があったんですね。
ですから私は、物心ついた時から母がメークをしている姿を見たことがなかったんですよ。
―なんだか意外なお話です。
君島さん:ところが、私が小学校5年生か6年生の時に、母が頂き物の口紅をつけていたことがあって。“口紅一つでこんなに女の人って変わるんだ”というのを、なんだか正視できないくらい、見ちゃいけないんじゃないかというくらい、とても驚いたんですね。
その、時々母が塗る口紅の質感や色が好きで、“いつもメークしてればいいのにな”なんて思っていました。
それで、中学生になった頃には化粧品というものにものすごく興味が生まれていて。

―鮮烈な印象があったんですね。
君島さん:中学生の頃は、雑誌のセブンティーンに付録的についているメークページを一生懸命読んでいました。また当時、1色300~500円くらいで好きな色を買って自分でパレットに納めるアイシャドウも発売されて、お小遣いで買える程度のものでしたので、ベージュのアイシャドウを塗ってみたりするのがすごく好きになりました。
高校生くらいから読者モデルを始めて、ヘアメークさんにおすすめのアイテムを教えていただいたり、美容と向き合うキッカケはその頃に芽生えてますね。
―そこから、19歳で航空会社のキャンペーンガールとしてモデルデビューされ、芸能の仕事をスタートされたんですよね。
君島さん:その時代に映像のお仕事をしていると、肌を健康に保っておくことが仕事をするうえでの最低条件だったんですね。
映像は肌の質そのものが画面に出てしまうんですけれど、今のようにデジタル技術も無い時代でしたので、吹き出物一つ許されませんでした。キレイでいるのが当たり前に求められていて、当時オーディションに受かってから撮影までの間は、トラブルが起きないように祈るような気持ちで…(苦笑)。
―そんな中で、キャンペーンガールのお仕事ではかなりの日焼け肌を続けられたとか。
君島さん:19歳から約3年間ほど、日焼け肌を続けました。やはり紫外線にさらされ続けた肌はシミや吹き出物ができてしまい、なかなか元には戻らなかったですし、早い段階で“紫外線の影響って怖いんだな”と身をもって痛感して。

肌の状態が悪いと仕事にもならず、“早くこの肌を何とかしなくちゃ”と思って余計にいじりすぎてしまい、悪循環になってしまいましたね。23、24歳頃までは本当に肌トラブルで苦しんだので、肌の美しさに対する憧れは人一倍強かったんです。
―肌トラブルでかなり悩まれた時期があったんですね…。
君島さん:本当にどうしたら肌がキレイになるのか手探り状態だったんですけれど、シンプルで基本的なことを徹底するようになってから少しずつ良くなっていきました。
お仕事に行くと自分のファンデーションではないファンデーションでメークしたりもするので、帰宅したら丁寧にクレンジング・洗顔をするということ。洗顔した後は水分をたっぷり与えること。日焼けが肌トラブルの第一歩になったので、どんな時でも紫外線ケアをすることを大切にしました。
この3つを意識するようになってから少しずつ肌が回復して、27歳になった頃には「肌がキレイだね」とまで言っていただけるようになりました。その何気ない一言が、何十倍何百倍にも嬉しく感じて。

―精神的にも追いつめられる中で、試行錯誤の末の回復だったんですね。
君島さん:当時、「自分の存在証明」と言ったら、肌をキレイにしておくことしか考えられなかったんです。芸能界でお仕事をするにしても、他にもっとスタイルの良いモデルさんはいましたし、演技も十分ではありませんでした。
ですから28、29歳の頃にはものすごく美容オタクではないですけれど(苦笑)、お給料のかなりの部分を使って、あらゆる化粧品を試していましたね。
―そこから30歳でご主人との結婚を機に芸能界を引退されて、その後美容の仕事をスタートされます。ご自身のスキンケアブランド「FTC」を立ち上げた経緯についても伺っていければと思います。
君島さん:主人が前職で皮膚科医をしていたり、嫁いだ先に皮膚科の学会誌があったり、交流する方々に皮膚科の先生が多かったり、生活の色々なところに美容のベースはあったと思います。
そうこうしているうちに美容誌が登場して。美容がファッションと同じくらい注目される時代になっていったんですね。

―美容業界の過渡期のような時代だったんですね。
君島さん:そんな時に自分が肌を痛めたという経験のある私は、肌をキレイに見せるとはまた別の部分で、肌の健康を保ちたいという想いをずっと持っていました。
当時の日焼け止めは今と比べて使い心地が良くなく、カサカサしてしまったりと、日焼けを防ぎたい私でさえ使いたくないなと思う日があって。“もっとこんなものがあればいいな”という思いが10代の頃からあったんですね。そして、皮膚科医の先生や仲間と話しているうちに、私が理想とするUVクリームを作っていただけそうな化粧品製造先と出会ったんです。
―化粧品づくりのスタートはそこからだったんですね。
君島さん:当時はまだ知識が浅かったため、漠然と「ベタベタしないもの」とか、「普通に洗って落ちるもの」「変な臭いがしないもの」といったように希望を伝えていきました。UVクリームの試作品をいただいて試してというやりとりを1年程続けて、ようやく完成したものを、主人が家業で服飾の仕事をしていましたので、そのブティックの一角で少しずつ売り始めたんですね。
―こだわりのものを、小さな規模からスタートされたんですね。
君島さん:お洋服を買いに来てくださるお客様と、「なあに、これはハンドクリーム?」「いえ、日焼け止めなんですよ。ゴルフやご旅行の時や、お化粧下地としても使えるんですよ」なんていうやりとりがありました。
だんだんとUVクリームをリピートしてくださる方が増えてきて、“この日焼け止めの前後に使うものも作ってほしい”というお声をいただいて。次第に化粧品の仕事が忙しくなっていきました。
服飾に携わる時間が主人も私もないくらいになった時、自然と化粧品事業に転換していったんですね。

―自然と、求められたものが会社になっていったんですね! 最後になりますが、君島さんにとって、美容とはどんなものでしょうか?
君島さん:私にとってのライフワークです。女性がキレイを手に入れる、その輝く瞬間に立ち会いたいって思うんです。自分がそこに携わらせて頂くことで生きがいを感じます。
また、美容は技術や成分も日進月歩。「これで完璧」ということがないんですね。多様なお客様のニーズに向けて、とどまることなく歩んでいきたいなと思います。
【1】 自分自身を知る
【2】 自分を大切にする
【3】 周りを見る力と自分を見る力、“バランス力”を大切に
次回は8月3日(金)18時、君島さんにスキンケアのこだわりについて伺った回を公開予定。楽しみにしていてくださいね。

君島 十和子
美容家
FTCクリエイティブディレクター
1995年、結婚を機に30歳で芸能界を引退し、2005年にスキンケアブランド「FELICE TOWAKO COSME(現・FTC)」を立ち上げる。美容家として「十和子道」(集英社)など、著書も多数。
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