顔の乾燥は、一年を通して予防すべき肌トラブル。空気が乾燥する冬の季節はもちろんですが、エアコンを使用した夏の室内における乾燥も深刻です。
毎日の生活習慣やスキンケアにおいて、乾燥による肌トラブルを未然に防ぐためのポイントを、形成外科専門医の齋藤真理子先生に伺ってきました。ぜひ参考にしてくださいね!

■プロフィール
形成外科専門医、医学博士。昭和大学医学部卒。2010年に山本メディカルセンター入職し皮膚科・形成外科を立ち上げる。
アンチエイジング分野にも取り組み、メディカルスパ、ドクターズコスメなどの開発・販売も手がけている。
2016年4月同クリニック院長就任。女医+(じょいぷらす)。
「顔の乾燥」とは、どういう状態?
顔がつっぱったり、粉がふいたりといった肌悩みがでてきたことはないでしょうか。それらは、「顔の乾燥」が原因です。
顔の乾燥は内部からと外部からの2つの要因で起こります。
内部的な要因
主に皮膚表面のバリア層の破壊によって起こります。
皮膚のバリア層は、角質細胞内の「天然保湿因子(NMF)」が保持する水分と、角質細胞間を埋める「細胞間脂質」による隙間のない構造と、角質表面の「皮脂膜」から成り立っています。
その3つの機能のバランスが崩れることで、皮膚の乾燥は起こります。
外部的な要因
外気の乾燥が影響して起こることもあれば、「皮膚常在細菌(*1)」のバランスが崩れることによって起こることもあります。
*1 皮膚常在細菌とは
皮膚表面や毛穴の中には約20種類、数百億個の常在菌が生息しており、それを「皮膚常在細菌」と言います。皮膚の潤いを保ち、皮膚を守ってくれる良い働きをしている善玉菌も多く、大切にする必要があります。
代表例として、”美肌菌”と呼ばれることもある「表皮ブドウ球菌」があります。
表皮ブドウ球菌は、全身の皮膚の角質の隙間に隠れており、潤いをあたえるグリセリン関連物質を分泌したり、悪玉菌の黄色ブドウ球菌を退治する物質を産生したりしています。
このような皮膚の常在細菌のおかげで皮膚表面は弱酸性に保たれ、うるおいが守られているのです。
乾燥状態が続くと…
皮膚のバリア層が破壊されたり皮膚常在細菌のバランスが崩れることによって、肌の乾燥が進むと、肌はさまざまな刺激を受けやすくなります。
こうした刺激がかゆみを引き起こすといわれている物質を分泌させ、神経を刺激してしまうことでかゆみが発生してしまうのです。
場合によっては、かゆみに伴って皮がむけてしまうなど、別の症状も出てきてしまう可能性があるため、早めに対処することをおすすめします。
顔の乾燥を引き起こす3つの原因とは?
(1)生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れは、顔の乾燥を引き起こす原因のひとつです。
十分な睡眠がとれていなかったり、腸内環境が悪かったりすると、肌の生まれ変わるサイクル(ターンオーバー)が乱れてしまいます。
ターンオーバーが乱れることで、保湿機能やバリア機能が不十分である未熟な細胞がつくられてしまい、肌のうるおいが不足して乾燥してしまうのです。
(2)間違ったスキンケア
間違ったスキンケアも、顔の乾燥を引き起こすことがあります。
過度な洗顔は、皮膚表面の皮脂の落としすぎることにつながり、バリア機能を弱めてしまうことになります。皮膚の常在細菌の生育環境も悪くなるため、肌のうるおいも奪われやすくなるので注意が必要です。
力を入れて強く洗ったりタオルでゴシゴシと拭いたりすると、摩擦が起こり、乾燥などの肌トラブルを引き起こすきっかけになってしまいます。
また、洗顔後の保湿不足も乾燥を悪化させる原因になります。
(3)室内・室外環境
室内・室外環境の影響で、顔が乾燥することもあります。
空気の乾燥する冬場は室内・室外ともに注意が必要ですが、夏場の室内もエアコンの影響によって肌がダメージを受けやすくなります。
乾燥した空気は肌表面の水分を奪うので、室内では加湿器を使用するなど、環境による影響を受けないように気を付けなくてはなりません。
顔の乾燥を防ぐためのポイントとは?
正しいスキンケア方法
顔の乾燥を防ぐためには、正しいスキンケアを行うことが大切です。
洗顔は、洗顔料の量が必要以上に多かったり、何度も洗ったりすることで、皮膚に必要な皮脂まで落としてしまうことにつながります。適量を守り、回数は1日2回までにしましょう。
また、洗顔料をよく泡立て、決して肌を擦ることがないように、顔に指が触れるか触れないかを意識して洗いましょう。すすぎ残しがないように、すすぎは丁寧に行ってください。

また、洗顔後の肌を乾燥から守るためにも保湿ケアは重要です。
洗顔後や入浴後の肌は、皮脂が少ない状態なので、みるみるうちに乾燥していきます。肌が濡れた後は、なるべく時間を空けずに、素早く保湿ケアをするように心がけてください。

化粧水だけを使用している人がいますが、化粧水だけでは水分が蒸発しやすく、保湿が十分とは言えないため、乳液やクリームを重ねてあげましょう。季節と肌の状態に応じた、適度な保湿を心がけることが大切です。
乾燥が悪化した場合は、スキンケアの際に肌に刺激を感じることがあります。その場合はすぐに使用を中止し、低刺激性のものに変えて様子を見ましょう。
生活習慣の改善
乾燥しにくい肌を育てるには、生活環境を整えることが大切です。
睡眠時間が充分にとれなかったり、ストレスを溜め込んだりすると、肌に悪影響を与えてしまいます。ストレスは自律神経やホルモンのバランスを乱し、肌の新陳代謝を悪くさせることがあるからです。
肌の細胞が作られるとされている22時~深夜2時までのゴールデンタイムに睡眠時間を合わせる、入浴の時間をゆっくりとるなど、自分がリラックスできる時間を意識してつくるようにしましょう。
また、喫煙は血流が悪くなり、肌に必要な栄養素や酸素が届きにくくなってしまいます。乾燥を招くだけでなく、くすみやたるみなど、他にもさまざまな悪影響を与えるので控えましょう。
食生活の改善
肌の乾燥を防ぐには、皮膚のバリア機能を高めてくれる栄養素や、新陳代謝や血行を促す栄養素を積極的に摂取することが大切です。
肌や爪、髪の毛は全てたんぱく質から生成されています。良質なたんぱく質や、その代謝に必要なビタミンやミネラルをバランス良く摂るようにしましょう。
【乾燥対策におすすめの栄養素】
たんぱく質 ・・・ 肌の潤いを保つ(肉、たまご、乳製品)
ビタミンA ・・・ 皮膚や粘膜のうるおいを維持する(レバー、うなぎなど)
ビタミンB ・・・ 新陳代謝を活発にする(豚肉、うなぎ、レバー、納豆など)
ビタミンC ・・・ 肌のコラーゲンの生成を促す(パプリカ、レモン、のりなど)
ビタミンE ・・・ 抗酸化作用、血行を促進する(ゴマ、アーモンド、ナッツ、ほうれん草など)
まとめ
顔を乾燥から守るためには、肌の内部と外部の両方からの対策が必要なことが分かりましたね。
毎日のスキンケアでは、洗顔で肌を清潔に保つことや、保湿ケアで肌を乾燥させないことを心がけて。睡眠時間や食生活など、生活環境を整えることも、乾燥ダメージに強い肌をつくるために重要なポイントですよ!
(ごきげん手帖編集部)
【あわせて読みたい】
・
・
・
・
【エイジングケア情報は姉妹サイトへ】
・シミ対策に◎!美白化粧品の選び方と美容家おすすめ4選
・たるみ毛穴対策に!おすすめコスメ6つとマッサージ法
・お風呂上がりにシワをチェック!タイプ別「シワ対策」2つ
・老け見えストップ!表情筋を鍛える「顔ヨガ」2つ