唇が荒れてガサガサ、ヒリヒリする、白っぽく皮がめくれて、乾燥している……こういった唇のトラブルに悩まされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
唇は内臓器官と密接な関係を持っているといわれています。たしかに、唇の色の状態が良いと体調も良さそうに見えますよね。
できれば潤いのあるプルプルとした健康的な唇の状態を保ちたいもの。今回は、唇が荒れる原因や自宅でできる唇パックの方法やリップクリームの塗り方などをエステティシャンの筆者がご紹介します。
唇が荒れる原因とは?
唇の皮膚は頬などの他の皮膚に比べて、角質がとても薄い構造になっています。
また、皮脂腺や汗腺がなく、潤いを保持する皮脂膜が形成されないので汗や皮脂が出ずに水分が蒸発しやすく乾燥しやすい場所といわれています。
また、食事の際に口元を拭いた時の摩擦や、歯磨き粉の洗い残し、冷たい風といった外気の刺激を受けやすい場所ともいわれていますので、空気が乾燥する冬だけではなく、年間を通して乾燥や荒れといった症状がでます。
<唇荒れを引き起こす原因8つ>
(1)空気の乾燥
皮膚の表面に潤いを保持する皮脂膜がないため、外部からの刺激や摩擦だけではなく、空気の乾燥による水分不足によっても唇が乾燥して荒れてしまう原因になります。
唇の乾燥を予防するためには、日々リップクリームで乾燥予防を心がけたり、リップパックで保湿ケアをおこなうことを意識しましょう。
(2)体内の水分不足
口内の入り口である唇。体内の水分が不足すると喉が渇きますが、そういった時は唇も乾燥していることがあります。こまめに水分補給をするように心がけて。お水をたくさん飲んで、巡りの良い身体にしていきましょう。
(3)ビタミンB2不足
毎日の食事をインスタント食品やコンビニのお弁当、外食などで済ませていませんか。
食は美の基本です。栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
赤く腫れてただれる「口角炎」のような唇の荒れは、ビタミンB2が不足していることが考えられます。
ヨーグルトや卵などの乳製品やうなぎ、ほうれんそうなど、ビタミンB2を豊富に含んだ食材を積極的にとるようにしましょう。
(4)口呼吸による乾燥
気がついたら無意識に口呼吸をしていた……なんてことはありませんか? 一般的に人間は呼吸を鼻で行うことが正しいといわれています。
口呼吸をすると、口の中や唇が乾燥しやすくなります。乾燥は唇荒れの原因のひとつです。
鼻呼吸をするように意識して、日頃から唇を乾燥させないようにリップケアをおこなうようにしておきましょう。
(5)唇を舐める癖や皮をめくる癖がある
唇の乾燥が気になった時に、応急処置として唇を舐めている……なんてことはないですか?
唇についた唾液が蒸発すると、唇の水分までも一緒に奪ってしまうといわれています。すると、余計に乾燥やひび割れが起こり、唇が荒れる原因となりますので、乾いたからといって舐めないようにしてください。
また、唇がガサガサに荒れてめくれてしまった皮を無理矢理剥がすのもNG! 炎症の原因となりますので、皮をむくのが癖になっている人は気をつけましょう。
(6)唇についた汚れ
食事の際に唇についてしまった酸っぱいものや辛いもの、歯磨き粉の洗い残しなどは刺激になって唇が荒れる原因になることも。
食事をした後や歯磨き後は、唇を優しくキレイにふき取ってあげてください。
また、メイク落としの際に落としきれなかった口紅やグロスなども唇の荒れの原因になりかねません。クレンジングをしっかりと行って、きちんと洗い流すようにしましょう。
(7)摩擦
口紅やリップクリームをしっかりとつけようと、強く押しつけるように塗ったり、手で必要以上に触ったり、クレンジングで唇を洗う時やふき取る際に強くこすったりするなど、唇へ摩擦を起こすことは、唇荒れを招く原因になります。
摩擦を起こさないためには、過剰に触らないことはもちろんのこと、リップクリームは指にとって塗り、優しくなじませながら乗せるようにしましょう。唇の汚れやメイクをふき取る際も、優しく抑えるようにOFFするよう心がけて。
(8)紫外線によるダメージ
紫外線を浴びると、お肌に悪影響を受けるということは周知のことですが、唇も同様の影響を受けています。
紫外線を浴びた唇は、内部の水分が蒸発してより乾燥しやすくなります。
外出する際は、日焼け止め効果のあるリップクリームを活用して唇を守りましょう。
唇トラブルの症状
口角炎
唇の両端の口角が炎症を起こし、赤みや腫れを起こす皮膚の炎症です。
口を開けた際に亀裂が生じて出血することで、痛みを感じたり、しみたりする場合もあります。なかなか治らず、繰り返すこともあります。
口角周りが乾燥する、違和感があると感じる場合は、無理に口を開かず、“守るケア”をするようにしましょう。
口唇炎
空気の乾燥や刺激の強い食べ物(辛いものや酸っぱいもの)や化粧品、洗顔料などに含まれる成分やアレルゲン物質に反応することで赤く腫れたり、ヒリヒリしたり、皮がめくれるような炎症が起きます。
肌に合わない口紅やリップクリーム、歯磨き粉などのアイテム、マンゴーやパイナップル、キウイ、山芋といった食品にも反応する方も。
刺激の強いものを食べた後は、唇表面に汚れが残らないように洗い流したり、優しくふき取るなどしましょう。
また、アレルギー反応が出るアイテムや食品は、出来るだけ控えるなどの事前の予防も大切です。
口唇のひび割れやパックリ切れ唇
口を大きく開けた時や笑った時に、唇がピキッとひび割れたり切れたりすると、出血や痛みを生じます。
元々唇は薄くて弱いので、乾燥していると、ちょっとした刺激でもひび割れたり、切れたりしやすくなります。
ひび割れやパックリ切れといった症状を起こさないためにも、リップクリームを塗るなどの保湿ケアを日々マメに行うことが大切です。
口唇ヘルペス
口唇ヘルペスとは、ウイルスが侵入することによって、唇の周辺に水ぶくれのようなものができる症状です。
疲労や風邪など、免疫が弱くなると症状が現れたり、繰り返したりする方もいらっしゃいます。
感染力が強いといわれており、ウイルスがついたハンカチやコップを使用するだけでも感染することもあるようです。
こちらの症状が出た場合は、お早めに医療機関を受診することをおすすめします。
見た目にも悪く、痛くて辛い唇の荒れ。上記のような症状を起こさないためにも、日頃から原因を作らないように意識し、乾燥やダメージなどから唇を守るリップケアを徹底することが大切といえそうです。
荒れた唇をパックでケアする方法
リップパックの役割や効果とは?
唇はとてもデリケートな場所です。リップパックでたっぷりと集中保湿をおこなうことで、乾燥の予防効果が期待できます。
また、リップパックを行うことで、唇が柔らかくなったり、ふっくらとした弾力のある唇が叶います。
日々の乾燥や刺激、紫外線の影響などによって唇が荒れるだけでなく、唇の厚みがなくなって縦ジワが増えたり、口角が下がったり、色がくすんだりしますが、リップパックを習慣にすれば、健康的で血行の良い、しっとり潤う唇を実感することができるはずです。
週に1度の定期ケアに取り入れたり、気合いを入れたい日やデートの前日などに取り入れたりするのもおすすめです。
リップパックをおこなうことで得られるメリット
乾燥の予防や改善
唇は日頃からダメージや摩擦などを受けやすい場所であり、他の場所に比べて皮脂分泌がされない部分なので、とても乾燥しやすい場所です。
お顔にシートマスクをつけてスペシャルケアをすることと同じで、唇にも保湿パックを行うことで、しっとり潤い感がアップし、乾燥や皮めくれが目立ちにくくなります。
唇の縦ジワ改善
唇を鏡でよく見てみると、縦ジワが入っていませんか? お顔のシワと同じで、乾燥を繰り返すことで、唇にもシワが刻まれてしまいます。
唇がカサついてシワがあると老けて見られる原因にもなるので気をつけたいところ。
シワの原因になる乾燥した皮膚にパックで潤いを与えることで、シワが目立ちにくくなります。
血行が良くなる
血行が悪いと、唇が黒ずんだような紫色に見えてしまい、体調が悪そう・不健康そうといった印象を与えてしまいます。
血色の悪い唇よりも血色の良い唇の方が印象も良く、若々しく見えます。リップパックをして保湿をしつつ、優しくマッサージを行えば、血行がよくなり、赤みがあって明るく健康そうな口元が実現できます。
口紅のノリや持ちが良くなる
定期的にリップケアを行うようにすると、口紅やグロスのノリや持ちが良くなります。
また、日中に口紅やグロスを塗る際には、必ず下地にリップクリームを塗るようにしましょう。
乾燥したままの唇に口紅を塗ると、色ムラになったり、ノリが悪くなるだけではなく持ちも悪くなりますので、常に保湿ケアをしておき、コンディションのいい唇にしておきましょう。
パックの種類
はちみつパック
はちみつには、ビタミンB群が豊富に含まれていて、唇や肌の荒れを整える働きがあるといわれています。
はちみつは水分量が約20%前後とたいへん少なく、また、空気中の湿度を吸い込む作用があるといわれています。そのため、高い保湿効果が期待できます。
はちみつにもさまざまな種類があります。種類によっては、アレルギー反応を起こす方も稀にいらっしゃるので、必ずパッチテストをおこなってから活用するようにしましょう。
アルガンやホホバなどのオイルパック
アルガンオイルには、「ビタミンE」や「オレイン酸」が含まれており、抗酸化作用が高いことが特徴です。
ホホバオイルは人の皮膚ともなじみの良い「ワックスエステル」を主成分としているので、皮脂分泌の少ない唇にとって、保護膜のような役目をしてくれます。皮膚を柔らかくし、ふっくらとハリや弾力を与えてくれます。
アルガンオイルやホホバオイルは、リップパックをおこなっても刺激が少なく、また浸透力が高いように感じます。
お肌や髪の毛や爪のケアなど、全身に使うことができるので万能です。
使い心地もベタベタとする感じが少なく、乾燥した唇にスッと浸透して皮膚を守ってくれます。
ワセリンパック
ドラッグストアなどで販売されているワセリン。ボディやヘアの保湿クリームとして使用している方も多いかと思いますが、リップパックとして使用することもできます。
はちみつと混ぜて使うのにも適しているので、2つを一緒に混ぜてパックを行っても良いでしょう。
市販のリップパック
自分で作るのが面倒くさいという方は、ドラッグストアやバラエティショップなどで販売されているシート状になったリップパックを使用してみるのがおすすめです。
お手頃価格で販売されている商品もたくさんあるので、それらを活用しても良いですね。
ヒアルロン酸やコラーゲン、ビタミンやはちみつなどの保湿成分などが配合されているものが多いので乾燥した唇に嬉しいです。手頃に試せるところもGOOD。
就寝前に!クルクルマッサージ&リップパック
お風呂あがりにお顔をスキンケアした後、アルガンオイルやホホバオイルなどの美容オイルやはちみつ、ワセリンを唇に塗り、クルクルと優しくマッサージをおこないます。
美容オイルやはちみつ、ワセリンを唇にじっくりとなじませたら、上から唇を覆うようにラップを乗せて、5分〜10分パックをした状態で置きましょう。
時間がたったら、余分なオイル、はちみつ、ワセリンなどを優しく拭き取るor洗い流してから就寝しましょう。
このマッサージやオイルパックの際に、自然に皮がポロっと剥がれる場合はいいのですが、唇に浮いている皮があった場合は、無理矢理めくらないようにしましょう。
ケガの後のかさぶたと同じで、無理矢理剥がすとかえって色素沈着のようになってしまいますので注意です。
筆者はほとんどスクラブなどはせず、保湿での乾燥対策に重きを置いています。たったこれだけのケアで翌朝の唇の潤い度がアップ!
リップクリームを塗る目安は“1日3回”が理想的
唇もお肌と同じで日々再生します。過剰にリップクリームを塗ることで摩擦を起こし、乾燥や炎症を繰り返したりすると、自然に治そうとする自然治癒力が失われるため、1日に何度もリップクリームを塗るのは控え、1日に3回程度を目安にすると良いでしょう。
まとめ
リップを塗るのがめんどくさくて忘れがちな唇ケア。しかし口元は意外と見られているもの。日頃から唇を乾燥させないためにも、リップクリームはマストアイテムです。
また、「唇が乾燥してきた」「皮がめくれてきた」「唇が荒れている」と感じたら、自宅で簡単に出来るリップパックケアを試してみてはいかがでしょうか。
女性なら誰しも、ガサガサに荒れた唇よりもプルプルに潤う唇でありたいもの! 健康でプルプルな潤いのある唇でいると、良い印象を与えることができるでしょう。口紅やグロスの仕上がりや持ちも変わるので、絶対にやって損はありません。
身近なアイテムで簡単にできるリップパック、特別な日の前日などにぜひ行ってみてくださいね。
ライタープロフィール
エステサロン プライベートサロン Laule’a 代表・寒川あゆみ
某エステティックサロンにて勤務を経て、現在、大阪 谷町九丁目 private salon Laule’aを運営。フェイシャルエステやボディマッサージ、ブライダルエステ、スキンケア講座なども開催。美容家、美容ライターとしても、数々の記事執筆など幅広く活動中。
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【参考】
※工藤武彦 著(2013年)『顔でわかるカラダのSOS』(アドユー・企画編集室)
※リップが荒れる – 花王 スキンケアナビ
※脱水症 – 健康長寿ネット
※口角炎・口唇炎 – ロート製薬
※実は危険な口呼吸 – オムロン ヘルスケア
※スキンケアのアンテナ – ユースキン
※口内炎の原因 – 第一三共ヘルスケア
※口内炎・口唇炎 – タケダ健康サイト
※口唇ヘルペスとは – 大正製薬
※皮膚科 口唇ヘルペス – 神鋼記念病院(神戸)
※はちみつの活用術 – 日本蜂蜜
※アルガンオイルの使い方と効能について – コディナ アルガンオイル
※ここが凄い!ホホバオイルの効果と効能、アレルギーについて – リズボタプレス